ドテどてな話  熊木 朋子(くまきともこ/やまなし淡水魚研究会北海道特派員 兼 NPO水環境北海道)

(はじめに・・・筑後川の磯辺さん&犬山さんへ)
昨年度末の愛のムチご指名、ありがとうございました。コラム投稿がこんなに遅くなってしまい、すみません。

こんにちは、熊木朋子です。
私には、昨年の川の日ワークショップ以来ちょっと気になっているキーワードがあります。

それは、「土手」 です。

奥大野川の土手。コンサート開催時には、対岸の土手が観客席となる(※写真は奥大野村HPより許可を得て引用)
 大会場の壁にぐるりと展示されたパネルの中で、ふと目に留まったのは、京都府大宮町常吉川(通称奥大野川)の「DOTEどて♪ふれあいコンサート」でした。
 雑草が生い茂り、人が近づかなくなってしまった土手を憂いて、「若い頃川辺でデートをした」現在70代の皆さんや、「水泳や魚取り等の川遊びをして楽しんだ」50代の皆さんが、7年前から草刈り・土手焼きを開始。
 そして土手をあらわにして見ると、被災していた箇所が見つかって、土手を直すことになったそうなのですが、その時に地元の皆さんの要望(イベントのできるスペースや親水公園など)も実現したのだとか。
 昔の姿と全く同じではないにせよ、今や土手は夏のコンサート会場となり、ふれあいの場として復活したようです。
 土手でコンサートしちゃおうというアイディアもさることながら、夏の夜、土手に座り川に足を浸しながらコンサートに耳を傾ける。とても気持ちが良さそうです。

こんなに土手に親しんでいる町って、いいですね。 学校帰りや散歩に、自然に土手へ、川へと足を運べる町。いいなぁ。
私の子ども時代には、身近な暮らしの中に川がありませんでした。

水が跳ねたり、波紋が広がったり。流れに表情のある川は、見ていて飽きません。
(多摩川上流、丹波川のさらに支流にて)

 水の流れを眺めているのが大好きだったので、小さい頃からよく川へ連れて行ってもらいましたが、私の住んでいた函館のはじっこから川に出会うためには、車で小一時間はかかりました。
 しかも、上流の山間を流れる川目指して出掛けるので、「いい川」といえば源流部――人里離れた川しかイメージにありませんでした。
そのせいか暮らしと隣り合わせの川の姿というものを知らず、生活は川と無縁なところにありました。

 函館を出て、山梨に住んでから初めて、川のそばにある生活というものを知りました。
富士川の信玄堤には、川と暮らすための人の知恵と、歴史の重みがありました。 荒川でのEボート大会の帰り道、夕暮れ時の土手は美しくオレンジ色に染まっていました。
 いい川、というと人里離れた源流部のイメージしかなかったけれど、 暮らしの中には暮らしの中なりの“いい川”の姿があるんですね。
そして、そんな時は土手も、“いい顔”をしてるんです。
 人の住むところに土手あり。当然のことなんだけど、土手は自然物である川と人の暮らし、 人の存在を結びつけるものでもあり・・・土手は、住む人の姿も映し出すのかも、と感じています。

 仕事で、工事中のため堤防を真っ二つにしている現場を見に行く機会がありました。(写真参照)

土ですね・・・。中央に見えるのは工事用の階段です。
(十勝川下流、樋門工事現場にて)

 こうして見ると、土手ってほんとに「土」だったのでした!・・・頭の中では当然のことも、実際に断面を見た時は驚きました。 土だから弱くもあり、強くもあるんですね。

 思えば川の仕事をするようになってから、堤防の事を「土手」って呼んだことが無いような気がします。 暮らしの視点・・・「土手」の視点を忘れないようにしたいです。

(ちなみに・・・。)
今年第2回目となる「北海道川の日ワークショップ」が、4月26日(土)・27日(日)に帯広で開催されます。
いよいよ開催日が迫りました!遠くの方も、近くの方も、お誘い合わせの上お越し下さいませ。
今回の北海道川の日ワークショップは、全国版(東京)への予選のような位置づけだとか。
北海道からどんな「いい川」「いい川づくり」が東京へお目見えするのか、皆さんお楽しみに!

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