合言葉は「川はともだち!」(株式会社御祓川 森山奈美)

ドブ川市民サミット2000
 こんにちは、森山奈美です。第1回で話題に上りました、御祓川をフィールドに川を中心としたまちづくりに取り組んでいます。2年前に「全国ドブ川市民サミット」を企画した時、本当に御祓川はドブ川だと思っていました。(謙遜ではありません)他地域からの参加者に「いい川じゃないですか」と言われたとき、本気で皮肉だと思っていた地元の人もいたのです。私も市民が見向きもしなくなっていた川のことを誉められて、こそばゆい感じがしました。きょとんとした顔の人、驚きを隠せない人、妙に関心する人などなど。でも、あの言葉で私たちはとっても勇気づけられたのです。
 市民の心が川から離れていたから「汚い、汚い」ばかりで、川に近づこうともしなかった。まずは、川との関係を取り戻すことからだ!・・・こうして、ドブ川市民サミットを契機に設立された「川への祈り実行委員会」の活動主軸がはっきりしました。合言葉は「川はともだち!」なのです。この日、宣言された「ドブ川市民サミット宣言」には、私たちが考える「いい川」観が凝縮されているような気がします。
                 ドブ川市民サミット宣言

ドブ川は臭いです。なぜ、臭く黒い川になったのか。突き詰めていくと、川と私たちの生活の関わりがなくなっていったことに行き当たります。かつて、私たち人間は水の恩恵を川から受け、自分が出した汚れた水は循環して、また戻ってくるということを知っていました。ところが、いつのまにか川が汚くても自分たちの生活には何ら関係がない、たとえ埋めてしまっても何も困らないというくらいに、私たちの生活は川と離れていました。もうそんな風に川に背を向けることはやめましょう。

   一、市民が楽しく遊び、商い、学び、川と生活との関係を取り戻すことから
   一、川が育んできた歴史、文化、自然環境、川が果たす役割を知ることから
   一、川の恩恵を受け、それを活かした店づくりまちづくりを進めることから
   一、動植物の視点と生き物としての人間の視点を大切にした環境づくりから
   一、市民が責任を持ち、行政が支援する新しい河川管理のしくみづくりから

私たちは、もう一度ドブ川と寄りを戻して、まちの中に活き活きとした水辺を再生することを宣言します。

2000年9月23日 全国ドブ川市民サミット2000 参加者一同

ドブ川市民サミットでは、とにかく御祓川で遊ぶフィールドも設けられた。小雨の降る中、真剣に魚釣りをする子供たち。これをきっかけに、少しずつ川に子供たちが戻ってきた。 恒例の「川そうじ&川あそび」には、必ず「川はともだち」の手作り上り旗を掲げる。

店から川を見つめる
 私が働いている株式会社 御祓川は、川を中心としたまちの賑わいを取り戻すことを目的としたまちづくり会社です。川沿いに魅力的なお店を誘致したり、直営店で能登の文化を発信したり、川周辺のまちづくりの計画を立てたりする他に、川への祈り実行委員会の事務局として、市民による川づくりをサポートしています。おそらく、ワークショップに集まってくる他のグループと比べて特徴的なのは、「店」という交流空間を持っていることではないでしょうか。
 褐葢P川がプロデュースした川沿いの店の中に、美容院があります。2階から見下ろす御祓川の風景を楽しみながらヘアスタイルを決めて、髪を切りながら美容師さんと「川がはやくきれいになったらいいね、できることからやろうね」という会話を交わし、きれいになった女の人たちをどんどん川の周りに送り込んでくれるお店です。
御祓川を見下ろす待合テーブル
川沿いに移転するにあたって、パーマ液等の排水を無害にして流すシステムを取り入れるなど、川のあるまちで商売をさせていただくという基本的な姿勢を貫かれています。新たに、飲食店もできました。夜になると店の灯りが情緒的な川沿いの風景を創り出してきました。七尾市は下水道が未整備なので、もちろん排水には細心の注意を払っての店舗誘致です。
 その町で商売をする人が、本気で自分の家業を見つめなおしていくと、まちの文化のお陰で、自分の商売があるということに気がつきます。つまり、川が汚いということは、自分の商売にとってもマイナスだということを。川沿いの店は、川に目を向ける人々を増やし、わたしたちのまちが持っている財産を確かめ合う場であり、川沿いのまちに元気を吹き込む窓なのです。

川の日ワークショップ
 ドブ川市民サミットから約10ヵ月後、私は「川の日ワークショップ」の舞台に立っていました。こ、これはやばい!OHPを用意して、ありきたりなプレゼンテーションしか考えていなかった私が、予想外にも一次審査を通過。大きい舞台で繰り広げられる、見ているだけでも楽しい各地の川づくり人たちの発表が続くと「なんかやらなきゃ・・・」と焦っていました。気合を入れて、大勢で遠くから乗り込んできている選手団みたいな皆様と、ぽつねんと一人で参加してしまった私。。。いやいや、私にだって御祓川に帰れば、いっぱい仲間がいるんだ!かなり震える手で携帯
を持って、毎日、川づくりやまちづくりで関わる人々を登場させながらの一人芝居でした。(あー、思い出しただけで恥ずかしい〜)
 ワークショップでの出会いは本当に意義深く、元気を与えてくれるものでした。あの、オープンな雰囲気と異様な熱気は独特ですね。お互いが学び合い、尊重し合いながら、訪ねてみたい川が次々に増えていく場だと思いました。一人で参加した私に、多くの方々が声をかけて下さったのは、本当に心強かったです。実は、7月の第二土曜日は、御祓川で毎年行っている市民総出の「御祓川クリーン大作戦」と重なってしまうため、これからも仲間たちを引き連れてという訳にはいかないのですが、今年は1人増えて2人で参加する予定です!
 今年も元気な全国の同志たちと会って、「いい川」「いい川づくり」を共有して、感動を分け合い、そのパワーをまた御祓川に注ぎ込みたいと思っています。

他己紹介:相楽 治さん
新潟水辺の会世話人として、通船川などの再生に取り組む名ファシリテーター。実は、ドブ川市
民サミットもこの人の一言で企画が動き出したというThe仕掛け人。ドブ川再生の大先輩です。


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