MIZUKAN
National Association for Local Water Environment Groups
http://www.mizukan.or.jp




〈全国水環境交流会通信 From U.K. 第13号〉
6th September 1998
 日本は豪雨続きで、各地で大きな被害が出ているようですね。残念ながらまたも河川管理のあり方を考えさせられるきっかけになってしまうようです。ある日本の新聞に、「テムズ川では1000年に1度の洪水を想定した治水計画をしている」との大蔵省の意見が出ていましたが、一概には比較することは出来ないでしょう。イギリスの場合、治水対策は河川管理の中でそれほど大きな課題にはなっていないようです。むしろ水質が大きく取り上げられています。私の調べ方が足りないせいもあるかと思いますが、市民運動のなかでも川に特化した活動というのは意外と少ないようです。以前紹介したEye on The Aireはイギリスでも珍しい団体ということです。
 先週はロンドンとパリに出かけてしまったため、レポートをお休みさせて頂きました。今週もまたも引っ越しがあったため、土日のGWの活動と8月25日のGroundwork Leedsへの訪問を合わせてお送りします。GW自体については日本でもその活動を紹介する文献がたくさんありますので、今回は省略させて頂きます。
(今回のお知らせ)
■1.Groundworkの活動について
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■1.Groundworkの活動について (Mr. Nigel Clark, Community Project Manager,
Groundwork Leeds)
 Groundwork Leedsは13年前に設立された。Leedsでは南部(社会問題がある)と東部(以前鉱山だったところ)で活動を展開している。(注:産業革命時に炭坑での労働のために多くの人々をインドやパキスタン、その他各地の植民地などから連れて来た。現在でもこうした人々とイギリス人コミュニティとの間にトラブルが多くあり、様々な社会問題を抱えたままになっている。ちなみにイギリス人の指す「アジア人」とはインド・パキスタン人のことで、日本人や中国人はアジア人とは呼ばない。また、以前炭坑(露天掘り)だった地区では採掘による自然環境の破壊が激しい。採掘現場はもちろん、資材置き場やレールを撤去したあとの鉄道敷きなどが放置されることが多い。Leedsでは後者が問題になることが多い。イギリス全体としては以前失業率が高いのも問題である。)
 地域の人たちにアプローチするには2つの方法があり、一つはガイドウォークのパンフレットをつくって住民に配布し、意外と自分の町について知らない人たちに意識を高めてもらう。また、カントリーサイド、郊外のフットパスや昔の鉄道の跡などをつなげてサイクリングコースやハイキングコースにする。
 もう一つはコミュニティづくりプロジェクトで、例えばLower Aire Valley Projectは10年前にスタートした。Swillington, Kippax, Allerton Bywaterなど昔鉱山だったところの集落が対象で、地域住民に自分の集落の環境保全と復元をやってもらうのが目的。
 最近の問題としてオフロードバイクがあり、実際にこうした場所でバイクを乗り回している人たちもいる。
Q:民間のコンサルタントとは職域がぶつからないのか
GWはここで長い歴史があり、人々の信頼を得ている。ここからトラストが出ていくことはない。コミュニティと密接にやっているのが大きな違い。GWは調査・研究した結果をコミュニティに還元することができる。
Q:GWについて
現在イギリスに42ある。自治体と協力した活動が多くを占める。取締の中に企業人がいて、そこからノウハウをもらっている。各トラストがコンサルタント業(企業から委託を受けて駐車場や工場などの外構などの設計、廃棄物処理やリサイクルのコンサルタント)をしている。これが収入となる。赤字にならないように活動するのは難しい。

ということでしたが、土曜日は以前紹介した圃場で翌日に種を播くための準備、今日はそのプロジェクトの一つ、Allerton Bywaterでのハイキングに参加しました。グランドワークが手がける炭坑跡地でのプロジェクトや旧鉄道敷きのサイクリングコースとしての活用事例などを見て回りました。どの事例も比較的規模の大きいもので、グランドワークの資金集めを含めた運営がうまくいっているように感じました。ゴミの不法投棄が多いそうで(たしかに多くのゴミが捨ててあるのを見かけました)、地域に思想を広めるのはなかなか難しいというとこです。小さなところは小学校の子供達がゴミを片づけて、そこに木を植えるなどの方法で環境改善をすすめているそうです。

〈全国水環境交流会通信 From U.K. 第14号〉
12th September 1998
 朝夕はめっきり寒くなり、昼間でもフリースを着ているこの頃です。よく考えてみればLeedsは北海道よりずっと北の緯度ですから、少しも不思議はないのですが。10月上旬の北海道はいかがななものでしょうか。やはり寒いのでしょうか。
 今週は河川を管理するEnvironment Agencyと日本でも有名なMersey Basin Campaignを訪問しました。Environment Agencyは前から話が聞きたいと申し出ていたのですが、やっと機会を得ることが出来ました。

(今回のお知らせ)
■1.Environment Agencyを訪問
■2.多自然型事例
■3.Mersey Basin Campaign
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■1.Environment Agencyを訪問
 9月8日(火)、Environment Agencyを訪問しました。その時のメモです。わかりにくいこともあると思いますが、ご質問のある方は私まで。治水担当、生物・保全担当、住民担当など専門の方が5人集まってくれて、日本の川のスライドを見ながら、わいわいと話を聞くことが出来ました。残念ながら具体的な話はあまりなかったのですが。
 EAでは5年前からhabitatの復元事業をやってきた。そのためには水質が一番問題になる。現在やっとその状態(復元が出来る状態)までもってきた。
 1989年に上水事業が民営化され、NRAはその規制が仕事になった。199X年(2,3年前?) EAになって河川と上水だけでなく、汚水、工場排水、廃棄物処理もその仕事になった。その規制が守られているかを監視するのが役割。ある程度は大気汚染も。
 洪水防止に関しては第2次大戦にさかのぼる。最初の目的は干拓(湿地を農地にする)ことだった。そのため現在でも洪水対策は都市部を中心なのに、農水省(日本で言えば)から予算が出ている。89年からConservationが目的に入った(土木+保全)。
 産業革命期に色々な法律が出来た。工場へ水を流すため(利水)に、各流域あてに1つづつ。
 どんな川にしても生態系は適応しつつある。23年には魚を守る法律、91年Water Resources Act。しかし、表現があいまいで責任が明確でなかった。現在では何が誰の責任か明記されている。
 NRAは流域管理計画をつくった。128流域でleapsをつくっている。その中には責任以上に広い問題が取り上げられている。今の段階でははじめの5カ年計画をつくろうとしている。そのために市民に相談している。計画書を200冊作って色々な団体(自然保護、環境保全、近隣住民等)に出している。
 流域自治体はUnit Development Planをつくっているが、書いていることとやっていることが違う。これにプレッシャーをかけることが難しい。たとえば開発するとき、普通は小川を暗渠化してしまう
■2.多自然型事例
 9月9日(水)、昨日紹介された多自然型の事例を見にMexboroghへ出かけました。しかし、あいにくの土砂降りでした。流路を蛇行させたこの事例は確かに成功したと思いますが、私にしてみれば隣接する改修する前も意外といい風景になっていると思いました。無理にやらなくても良かったのになんておもったりして。(こんなことを言ったら怒られそうですが。)日本と違って変に巨石を使ったり、ロールみたいなものを使っていないのがいい。このアイデアは魚の管理をしている人によるものらしいのですが、この事例で「土木技術者がこうした工法でも洪水対策には問題ないということを学んだ」とは担当者の弁でした。ただし、周りは農耕地ですから一概には日本との比較は出来ません。
■3.Mersey Basin Campaign
日本で一番有名といってもいいMBCをマンチェスターに訪ねました。Mersey川はちょうどLeedsとは山脈(といっても1000mもない)を隔てた反対側の流域で、バスを使って1時間ほどのところです。事務所で一通り彼らの活動を紹介してもらってから、その支流とMersey川を案内してもらいました。現場での活動は、川の清掃をしたり、子供達による生物・水質調査、川沿いの歩道を整備したりと日本のそれと似ています。テレビでもこの活動は取り上げられ、かつてはかなりのゴミが捨てられていたようですが、今ではほとんど見られません。確かに美しいところも多いのですが、都市部で活動する人たちは日本の川の様に人工的な川で清掃などをする一方、手つかずの部分にも協力するということになっているそうです。当日案内をしてくれたMark Turnerは日本に来たこともあり(鶴見川でのフォーラム)、とても親切に話をしてくれました。

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鉄道敷きはサイクリングコースになる予定。

こちらは公園として整備された。

自然にしか見えない。

マージー川上流、ハッピー・バレーという名前のめでたい場所。